欧州の宗教学者らは、現在拘束されている新天地イエス教証しの幕屋聖殿(以下、新天地イエス教会)の95歳のイ・マンヒ総会長(以下、イ総会長)の釈放を求め、韓国政府に対して強く訴えている。
イ総会長は6月24日、政党法(韓国法)違反などの容疑で拘束され、6月29日に起訴された。合同捜査本部は、2021年7月から2024年1月までの間、約5万人の教会員を特定政党へ集団入党させるよう指示したと主張している。
これに対し、新天地イエス教会は、教会員一人ひとりが自由意思に基づいて政治活動に参加したものであり、イ総会長および教会は家宅捜索を含むすべての捜査過程に誠実に協力してきたと説明した。また、95歳という高齢のイ総会長を拘束することは、実質的に身体的苦痛を与える処罰に等しいとして深い遺憾の意を表明した。
■「非暴力事件で高齢者を拘束することは国際法違反」―宗教学者らが指摘
7月3日、イタリア・ローマで開催されたEuARe(European Academy of Religion:ヨーロッパ宗教学会)第9回年次国際会議では、新天地イエス教会を取り巻く状況が取り上げられた。
「世界的視点から見た韓国の新宗教・新天地」をテーマとしたセッションでは、欧州の宗教学者らが新天地イエス教会に関する研究発表を行うとともに、イ総会長の拘束を含む韓国の最近の状況についても共有した。
同会議で、CESNUR(Center for Studies on New Religions:新宗教研究センター)の創設者兼代表であり、宗教社会学者のマッシモ・イントロヴィーニェ博士は、イ総会長の拘束について次のように述べた。
「EU加盟国では、80歳を超える高齢者を刑務所に収容することは極めて例外的な場合に限られます。必要がある場合でも、自宅拘禁が基本であり、それも殺人など暴力犯罪で実際に暴力の危険性がある場合に限られます。本件はそのような事件ではなく、選挙法違反が問題とされているだけです。」
「そして、韓国政府がこの高齢の宗教指導者に対して行っていることは、国連の『マンデラ・ルール』を含む国際法に反しています。同ルールでは、未決拘禁は原則ではなく、高齢者への適用は極めて限定された例外的状況に限るべきだとされています。それゆえ現在起きていることは、政治的・宗教的報復を隠した極めて重大な問題です。」
また、同セッションに参加したEIFRF(European Interreligious Forum for Religious Freedom:欧州宗教自由フォーラム)会長で宗教間対話活動家のエリック・ルー氏も、高齢者拘束の不当性を強調した。
「95歳の人を刑務所に入れることは、人間の尊厳を尊重するという理念とは到底両立しません。仮に主張されている内容が事実だったとしても、この年齢の人物を収監することは通常考えられません。韓国の国際的評価に深刻な悪影響を及ぼす前に、この問題を早急に見直し、今すぐ釈放すべきです。」
■人権専門家が「民主国家では考えられない拘束」と主張
イングランド・ウェールズ上級裁判所の法廷弁護士であり、イタリアでも弁護士資格を持ち、FOB(European Federation for Freedom of Belief:欧州信教自由連盟)会長を務める人権弁護士アレッサンドロ・アミカレッリ氏も懸念を表明した。
「私は人権弁護士として、韓国は人権を民主主義の基盤として守る真の民主国家だと考えてきました。しかし、現在起きていることは非常に衝撃的です。民主国家において、95歳の宗教指導者がこのような扱いを受けることは到底受け入れられません。」
「現在の状況を見る限り、韓国は自国の憲法と人権の理念から逸脱しているように思えます。そのため私は、韓国のみならず世界中で行われるいかなる迫害や人権侵害に対しても、新天地イエス教会の取り組みを支持します。」と述べた。
新天地イエス教会は、イ総会長の拘束問題が学術的関心の域を超え、国際的な人権問題として取り上げられていると強調した。
国際人権団体United for Human RightsおよびCAP-LC (Coordination des Associations et des Particuliers pour la Liberté de Conscience:良心の自由のための団体と個人の連携)は、5月25日に開催された第62回国連人権理事会(UNHRC:the United Nations Human Rights Council)へ、新天地イエス教会に関する人権問題について共同声明文を提出した(文書番号:A/HRC/62/NGO/236、6月10日配布)。
声明では、「韓国における状況は悪化している」と評価し、教会員の政党入党を「宗教と政治の癒着」の証拠とすることは、すべての市民に政治活動へ参加する権利を保障する「市民的、政治的権利に関する国際規約(ICCPR:the International Covenant on Civil and Political Rights)」に反すると指摘した。
また両団体は、「2025年12月、大統領は新天地を明確な対象とする警察・検察合同捜査チームの設置を指示した。政府高官が新天地を『犯罪組織』と公言したことは、無罪推定の原則と相容れない。」とし、「韓国政府が宗教の自由、差別の禁止、国家の中立性を維持する姿勢を改めて表明するよう求める。」と訴えた。
新天地イエス教会は次のように述べた。
「イ総会長の拘束に対する国際社会の著名人による支持や釈放要請が拡大する中、韓国政府および司法当局への国際的な圧力も高まっています。」
さらに、「イ総会長の速やかな釈放は、民主主義の根幹を成す宗教の自由と人権を守るために不可欠な問題です。」と強調した。